意味の分かる人に

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今週は小田北中、大成中が期末テストでした。

受験生はここからラストスパートで、まずは中学の範囲を全て終わらせにかかります。

 

さて、毎年ながら気になっていたことを、満を持して?書きます。

中3の数学の問題でこういったものがあります。

「y=2x² において、xが2から5まで増加するときの変化の割合を求めよ」

別に何ということもない、基本問題の一種です。xとyの増加量をそれぞれ求めて、①「変化の割合 = yの増加量 / xの増加量」で求まります。

※xの増加量=5-2=3、yの増加量=2×5²-2×2²=42、変化の割合 = yの増加量 / xの増加量=42/3=14

なのですが、この問題をこのように解いている生徒を、年に一度は見かけます。

②「変化の割合=2×(2+5)=14」

確かに答えは同じですが、当塾では教えていない解き方です。※教えることもあるのですが、それは「基本が完璧にできる」生徒のみにしています。

聞いてみるとどうやら「裏技」的なことで、友達から聞いたとか、学校のプリントにあったとかいった答えが返ってきます。

で、「どうしてそうなる(その裏技が使える)か理解してる?」と聞いて、分かりますと言われたことはただの一度もありません。

疑問にすら感じていない、といったところです。

「意味が分からないし、なぜそうなるのか理由があるのかも分からないが、なぜか簡単にできるから使う。意味が分からなくてもいい。」

こういった考え方は非常に危険です。

 

もちろん、(本当はその方が望ましいですが)全ての公式を証明できるようになっておけ、というのではありません。

ですが、「どうしてそうなるんだろう?」と疑問も持たずに裏技を乱用するのはいかがなものでしょうか。

残念ながら塾の講師や学校の先生には、「こんな裏技がある」とだけ教えて、使わせている方もいるようです。←私は教えるときは(例え分からなくても)証明とセットで教えます。

学校の定期テストの過去問を意味も理解せずに暗記させて、「テスト勉強」とかしている塾も聞いたことがあります。

裏技や簡単な方法ばかりを教えて、本質的な内容が理解できるでしょうか?

定期テストの得点さえよければ、意味なんて分かっていなくたっていいのでしょうか?

 

そんな考えてこれから先を過ごしていけば、間違いなくAIに仕事を奪われます。何事にも裏技があるわけではない。

我々人間が人間たるのは「意味を理解している(理解しようとする)」ことだと思います。

 

AIで思い出しましたが、前回の記事で将棋の藤井総太さんについて少し触れました(この一週間で四冠になりました!)。

最近のプロの将棋ではAI(コンピューターソフト)を研究に使うのが主流になっています。ここ3年くらいで、その流れが急速に強まっています。

では、AIで調べて研究しているから、藤井さんは強いのでしょうか?そんなわけありませんよね。それだったらAIを使っている人みんな同じように強くなります。

将棋のAIは「推奨の一手」は示してくれますが「なぜそれが良い一手なのか?」というのは教えてくれません。結局最後は自分の頭で考えて、実戦で使えそうか判断する必要があります。

 

話をはじめの問題に戻します。

上記②の変化の割合の求め方は「y=ax²」という特定の形でしか使えません。

その理由を理解して使っていますか?そもそもその理由があることを知っていますか?

 

「AIに仕事を奪われる」と言われるようになりましたが、AIは解の意味を理解しているわけではないそうです。

「どうしてそうなるのか?」それは、自分の頭で考える必要があるのです。

 

どうか塾生の皆さんには「意味の分かる、意味を分かろうとする」人間になってほしいと、心から願っています。

 

y=ax² において、xがx1からx2まで増加するときの変化の割合は、

変化の割合 = yの増加量 / xの増加量

=ax2² – ax1² / x2 – x1 

=a(x2² – x1² )/ x2 – x1 

=a(x2 – x1)(x2 + x1)/ x2 – x1 

=a(x2 + x1)=a(x1 + x2)