公立校の現状
|保護者の方向け
遅くなりましたが、2025年初投稿です。
今年も当塾をよろしくお願いいたします。
今週月曜日で冬期講習が終わり、先週土曜日から中3生は受験対策が始まっています。
冬期講習でようやく中学の全範囲を終え、入試問題を含めたより実践的な問題を解いていきます。
ラストスパート、頑張りましょう。
さて、今回からここ近年の学校環境・教育環境についてです。
「公立小中」「私立小中」「高校」の三本立てです。
今、子供たちが過ごしている学習環境について、また8年間当塾を運営してきた中で見えてきた問題点について、独断と偏見も交えながら書きます。新年度の、そしてこれからの指針となれますと幸いです。
今回は公立の小学校、中学校についてです。
・昨今の公立中学のレベル【昔の通知表で「2」は今なら「3」】
まずは公立中から見ていきます。
大変恐れながら、近年公立中学の学力レベルは下がっていると言わざるを得ません。
例えば数学で、「小学校で習う円周・円の面積の公式(円周=直径×円周率・円の面積=半径×半径×円周率)」をきちんと覚えていない生徒が多くみられます。
この生徒の数学の通知表の評定、5段階評価でいくつが付くと思いますか?
おそらく保護者の方々のであれば「2」を想像するのではないでしょうか。
このくらいのレベル-小学校で学んでいるはずの公式が頭に入っていないレベル-の生徒で普通に「3」が付きます。
もはや、真面目に学校に通って、静かに授業を受けて、提出物を出してさえいれば「3」がもらえる。
こんなレベル感であることは、ご存じだったでしょうか?
・小学校で起こっていること
では中学に上がる前の小学校では、何が起こっているのでしょうか。
まず初めにお子様への学習意識が高いご家庭では、中学校あるいは小学校から私立への入学を考えます。まずは入学の段階から、学習意識の高い一定数の小学校受験組が抜けています。
そうした公立小学校での学習ですが、私の体感では4~5割以上の生徒が学校で学ぶ学習内容についていけていないのが現状かと思います。
また様々な家庭の子供が通う公立校では、勉強以前に机に座れない、静かに授業を聞けないなどの問題を抱えた生徒もいます。※今回は詳しくは触れませんが、発達障害・学習障害の疑いのある生徒もいます。
そして後述しますが、教育現場において「叱らない教育」「自分で自由に考える」といった教育思想が広まりすぎた結果、九九や漢字を全く覚えていなくても平気な生徒、もしくは放置されている生徒が一昔前よりも確実に増えています。
これらの公立校でのレベルの低下の理由には、以下の三つがあると考えています。
①子供の減少
②教育における風潮の変化
③学習内容の難化
①まず一つに「子供の数の減少」があります。
当然ではありますが、母集団が少なくなると優秀な層も少なくなりますし、競争意識も薄れます。
こればかりは急にどうこうなる話ではないので、当面の間は仕方のないことかと思います。
②次に、私が本ブログで度々触れてきていて、一番の問題点だと思うのが、「教育における風潮の変化」です。
昨今では先述しました、
「叱らない教育」「自由に自分で考える」「嫌なことはしなくてもいい」
などといった個人個人の思想に任せた自己責任論、ある意味では大人が無責任な考えの教育思想が広まっています。
そして、少しでも厳しく言えばパワハラ扱いされるかもしれない恐れのある現場において、必要なことを子供たちに教えていくための指導が大変難しくなっています。
授業中をボケ~っと過ごし、「できへんねん」「わからへんねん」と言って全く頭を使う気もない生徒が放置されています。
先月の懇談で小学生の保護者に聞いたのですが、
「最近はスマホやタブレットもあるから、漢字はそんなに覚えなくてもいい。」といったニュアンスの言葉を学校で言われたようです。
漢字もロクに覚えないでどうやって日本で生きていくの?って話ですが、学校でうるさく言うと悪者扱いされる可能性もあるのです。そんな状況では熱心な指導が馬鹿らしくなり、こういうことを言ってしまう先生がいても不思議ではないと思います。
③一昔前よりも学習内容が難しくなっています。
難しくなっているというのは正確ではありません。聞かれている内容は変わっていないのですが、「聞かれ方が変わってきている」のです。
大学入試で「高大接続改革」で2021年に共通テストが始まりました。
前身のセンター試験と比べて問題文が長くなり、以前よりも問題を解くための読解力が必要になりました。
この影響を受けて、高校入試もここ数年で難化しています。
そうすると、中学校あるいは小学校で学ぶ学習内容も難化しているわけです。
どのように難化しているのか?
全科目の傾向として、「①知識を増やし一問一答で答えていく形式の問題」が減り、「②長い文章を読んで書かれている内容を自分の持っている知識と照合し、答えを導き出す問題」が増えています。
つまり、丸暗記で対処できる問題が少なくなっており、知識が入っているのは前提でその上で読解力も必要とされている。でも現場で教えていると、①ですら精一杯の生徒がほとんどです。
一昔前であれば難関校に進む生徒のみに求められていた能力が、普通の学生にも求められているのが現状です。
相対的に勉強ができない生徒を生み出してしまっているわけです。
・国の人たちへ
こんなブログを国の教育機関の方が読んでいるとは思いませんが、「タブレット導入」や「英語改革」といった頓珍漢な施策ではなく、もう少し現場の声を聞いてくれませんか?
国民全員が優秀で、何でもかんでも対応できる人間ではないんですよ?
元来、公教育というのは「国が豊かになるために社会で役立つ人材をつくる」のが目的のはず。
ここ数年の教育改革はメリット以上に勉強が苦手な(劣等感を感じる)生徒を増やし、現場の仕事を増やし、生徒も先生も疲弊させただけのようにしか思えないのは私だけでしょうか。
公立校の現状や課題についての内容でしたが、それなら国で決まっている教育課程に縛られない私立の学校に入れておけばいいかというと、話はそう単純ではありません。
むしろ公立校のほうが良いケースまであり得ます。続きは次回の記事にて。